健康食品の一つとして近年人気の高い青汁。
青汁はなぜ健康に良いのか知っていますか?
そもそも青汁は本当に健康に良いのでしょうか?
どのような栄養素が含まれていて、ヒトにどのような影響を与えるのか。青汁の栄養について詳しく解説していきます。
そもそも青汁って何?
青汁とは“生の緑黄色野菜を絞った汁”のことを言います。ポイントは生の野菜を絞ること。野菜に含まれているビタミンやミネラルなどは、加熱することによりその効能が落ちてしまうため、生の状態の方が野菜本来の栄養素をしっかり摂ることが出来ます。
では、具体的にどの野菜が青汁に使われているのか、青汁の飲み方について紹介します。
青汁に使われている原料を知ろう
青汁の原料としてよく使われている野菜は、大麦若葉・ケール・明日葉です。その他、桑の葉・クロレラ・よもぎ・長命草などが原料として使われています。
大麦若葉
イネ科の植物で、名前の通りビールや麦茶の原料となる大麦の若い葉のことです。この若葉の状態が緑黄色野菜として栄養豊富なことが注目されています。抗酸化作用を持ち、免疫力を高めるほか、動脈硬化や糖尿病の予防効果のある「SOD酵素」が含まれています。
ケール
アブラナ科アブラナ属の野菜でキャベツやブロッコリーなどの原種です。温暖な気候であれば年中収穫できます。ビタミンの含有量は緑黄色野菜の中でも多く、栄養に富んでいます。栄養価は夏が一番高いですが、一年中を通して比較的栄養価の高い野菜と言われています。
明日葉
セリ科シシウド属の日本が原産国の野菜です。太平洋岸の温暖な地域に自生しています。葉と茎は古くから食用されており、独特の苦みと風味があります。ビタミン・ミネラルだけでなく、ポリフェノールの一種である「カルコン」という成分が含まれており、老廃物を排出する働きを持ちます。ダイエットに効果的です。
青汁の飲み方は?
前述で青汁は“絞った汁”と言いましたが、液体の状態で販売されていることは少なく、粉末・常在など様々な形状で販売されています。
粉末タイプ
乾燥させて粉末状にしたもので、一番人気のある形状です。粉末のため、持ち運びに便利で、水・牛乳に溶かしたり料理に使うことも出来ます。また、飲みやすく作られているため、青汁特有の苦みは感じにくくなっています。ただし、加熱処理しているため熱に弱い栄養素は若干失われてしまいます。
錠剤タイプ
手軽に飲むことが出来、味はほぼないため青汁のクセが気になる方におすすめです。他の形状と比べると吸収速度は遅くなります。
冷凍タイプ
絞りたての青汁をそのまま冷凍したものです。絞った後加工をしていないため、冷凍タイプのものがいちばん栄養素が濃縮されており、鮮度が良いです。ただし、苦味やクセは残ります。また、冷凍のため回答するのに時間がかかる・携帯するには不向きというデメリットもあります。
フリーズドライタイプ
粉末タイプと同様、持ち運びに便利で飲みやすいです。違いは製法が異なることです。フリーズドライタイプは加熱せず、真空状態で乾燥させて作られています。そのため加熱による栄養素損失はありません。価格はやや高めとなります。
飲料タイプ
ジュースに青汁が入っているものです。そのため、美味しく飲みやすくなっています。だたし、美味しくしている分、青汁に含まれていない成分(添加物等)も含まれているため、事前に成分表示を確認するようにしましょう。
それぞれメリット・デメリットがあります。自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
高栄養な青汁!含まれる栄養素は?
青汁は様々な野菜が原料とされていますが、どの野菜も栄養価は高いです。しかし、使用している野菜により特化している栄養素が異なるため、何を目的に青汁を飲むのか明確にしておくことが大切です。
栄養価を比較!
大麦若葉・ケール・明日葉に含まれている栄養価は異なります。
大麦若葉 | ケール | 明日葉 | |
---|---|---|---|
エネルギー |
39kcal
|
28kcal
|
33kcal
|
たんぱく質 |
3.3g
|
2.1g
|
3.3g
|
脂質 |
0.7g
|
0.4g
|
0.1g
|
炭水化物 |
0.7g
|
5.6g
|
6.7g
|
ビタミンA(β-カロテン) |
2538µg
|
2900µg
|
5300µg
|
ビタミンE |
1.2mg
|
2.4mg
|
2.8mg
|
ビタミンK |
370µg
|
210µg
|
500µg
|
ビタミンB1 |
0.06mg
|
0.06mg
|
0.1mg
|
ビタミンB2 |
0.15mg
|
0.15mg
|
0.24mg
|
ビタミンB6 |
0.06mg
|
0.16mg
|
0.16mg
|
葉酸 |
40µg
|
120µg
|
100µg
|
ビタミンC |
7mg
|
81mg
|
41mg
|
ナトリウム |
31mg
|
9mg
|
60mg
|
カリウム |
320mg
|
420mg
|
540mg
|
カルシウム |
29mg
|
220mg
|
65mg
|
マグネシウム |
160mg
|
44mg
|
26mg
|
鉄 |
4.2mg
|
0.8mg
|
1.0mg
|
リン |
37mg
|
45mg
|
65mg
|
食物繊維 |
4.11g
|
3.7mg
|
5.6g
|
大麦若葉:山本漢方製薬株式会社 粉末10gあたり
(大麦若葉は成分表に未掲載)
ケール・明日葉:五訂日本食品標準成分表 可食部生100gあたり
大麦若葉に豊富に含まれる栄養素
鉄
赤血球を作るのに必要な栄養素で不足すると貧血・筋力低下などを招きます。成長期、月経中や妊活中~授乳中は積極的に摂取する必要があります。
マグネシウム
カルシウムやリンとともに骨や歯の形成に必要な栄養素です。また、約300種類の酵素を助ける働きや筋肉収縮・神経の情報伝達にも関わっています。現代の日本の食生活において不足しがちなため、補いたい栄養素の一つです。
SOD酵素
スーパーオキシドディスムターゼ酵素と言い、“活性酸素を除去する酵素”という意味です。その名の通り抗酸化作用を持ち、老化防止・肌トラブルの回避・生活習慣病の予防などに効果を発揮します。もともと体内に存在する酵素ですが、加齢とともに減少すると言われています。
クロロフィル
植物に含まれる緑色の天然色素で緑葉素とも呼ばれています。理科で習ったように、光合成に関わる物質です。貧血予防、コレステロール値改善、デトックス効果、消臭・殺菌効果などに期待できます。
カテキン
抗酸化作用、血糖値・コレステロール値の改善効果があります。抗酸化作用を持つビタミンと一緒に摂取することでさらに効果がアップします。
ケールに豊富に含まれる栄養素
葉酸
葉酸はDNAの合成や細胞分裂に関わっています。不足することで発育不良・貧血などが起こります。特に胎児の成長に重要で、妊活中~授乳中はプラスで摂取しなければならない栄養素です。
ビタミンC
抗酸化作用・免疫力向上効果があり、コラーゲンの生成にも欠かせない栄養素です。水溶性ビタミンなので水に溶けやすく、熱・光などに壊れやすい性質を持ちます。
カルシウム
牛乳や乳製品に多いイメージですが、ケールにも豊富に含まれています。むしろケールのほうが多く、牛乳の約2倍含まれています。骨の形成や神経の情報伝達などに関わっており、不足することで骨粗鬆症のリスク上昇・イライラなどを引き起こします。
ルテイン
緑黄色野菜に含まれる色素の一つで、目の保護作用・眼疾患に対する効果が期待できます。体内で合成できないため、食事やサプリメントから摂取しなければなりません。
メラトニン
睡眠を促してくれるホルモンです。メラトニンが分泌されることで身体は睡眠の準備に入ります。加齢とともに減少すると言われているため、年齢を重ねるについて必要度が増えます。
明日葉に豊富に含まれる栄養素
β-カロテン
β-カロテンは体内に入るとビタミンAに変わります。抗酸化作用により細胞の老化を遅らせ、がんや動脈硬化予防などに効果があります。また、皮膚や粘膜の正常化・視覚を調整する働きも持ちます。
ビタミンB2
脂質の代謝を助けたり、細胞の発育に関わるビタミンです。不足すると発育不良、口内炎・口角炎などの炎症が起こりやすくなります。
食物繊維
消化・吸収されない栄養素です。水溶性と不溶性の2種類あります。水溶性は血糖値やコレステロール値の上昇を抑え、不溶性は大腸の運動を促進し、腸の調子を整えます。
カルコン
明日葉から出る黄色いネバネバした汁の成分で、明日葉独自の成分と言われています。体内にある余分な老廃物を体外に排泄する働きがあり、これにより身体の巡りがよくなりむくみや肥満改善に効果があるとされています。この他にも、血糖値上昇抑制・血栓予防にも期待できます。
同じ栄養素が含まれていても、それぞれ含有量は異なります。また、それぞれ独自の栄養成分が含まれており、「青汁」とひとくくりで言っても原料により効果・効能は変わってきます。各野菜の効果・効能を知ることが大切ですね。
青汁は万人受けする!?
青汁は栄養豊富で、健康食品として扱われているため副作用の心配はほぼありません。しかし、妊娠中・授乳中、治療のため禁忌のある薬を内服していたり食事制限のある方は青汁の摂取に注意が必要です。
妊娠中・授乳中は医師に相談してから
基本的には問題はありませんが、商品によって避ける必要があるものがあります。事前に意思に相談してから使用しましょう。
治療のため.禁忌のある薬の内服、食事制限のある場合は使用を避ける
ビタミン・ミネラル等の摂取により、治療の妨げあるいは効果を出しすぎる可能性があります。
例えば、「ワーファリン」は血液をさらさらにする薬ですが、青汁に含まれているビタミンKは血液を固める働きを持ちます。青汁を飲むことでワーファリンの効果を弱めてしまう可能性があります。原則、使用は禁止ですがどうしてもという場合は医師に相談しましょう。
まとめ
青汁は「生の緑黄色野菜を絞った汁」だけあり、様々な栄養素を豊富に含んでいます。
余分な添加物等もあまり含まれていない点も良いですね。健康にも良い食品だと言えると思います。しかし、使用している野菜により効果・効能は異なるため、それを知った上で自分に合った青汁を選択しましょう。
そうすることでより青汁の効果を実感できるのではないでしょうか。